
ハザードマップ、どこを見たらいいの?
ハザードマップ、どこを見たらいいの?
物件探しをしていると、最近よく聞くようになった「ハザードマップ」。
ネットで物件を調べていると表示されたり、契約時にも市町村発行のハザードナップを渡されたりします。
でも正直なところ、「色がいっぱいでよく分からない」「結局、何を見ればいいの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、ハザードマップを見るときに最低限ここは押さえてほしいポイントを、分かりやすく整理してみます。
そもそもハザードマップって何?
ハザードマップとは、自然災害が起きた場合に、どこにどんな危険があるのかを想定して示した地図です。
代表的なものは以下のような種類があります。
■洪水(河川の氾濫)
■内水氾濫(大雨で排水が追いつかない)
■土砂災害(がけ崩れ・土石流)
■津波・高潮
■地震(揺れやすさ、液状化)
自治体ごとに作成されており、「想定最大規模」の災害を基準にしているのが特徴です。
つまり、「必ず起きる」ではなく「起きたらこうなる可能性がある」という前提で作られています。
まず最初に見るべきは「災害の種類」
ハザードマップを見るとき、いきなり色の濃さを見る必要はありません。
最初に確認してほしいのは、「このエリアは、どの災害が想定されているか」です。
例えば、
●川が近い → 洪水・内水
●崖や斜面が多い → 土砂災害
●海が近い → 津波・高潮
すべての災害を同じ重さで考える必要はありません。
立地と関係のある災害だけを、まず把握する。これが第一歩です。
次に見るのは「色の意味」と「数字」
ハザードマップは色分けされていますが、色=危険/安全と単純に判断するのはNGです。
特に洪水ハザードマップでは、
・薄い色:浸水深 0.5m未満
・濃い色:1m、2m、5m以上
といった具合に、浸水の「深さ」が示されています。
ここで大事なのは、
●床上浸水なのか
●2階まで影響するのか
●一時的なものか、長期間か
という生活への影響度です。
同じ「色が付いている土地」でも、1階が少し濡れる程度と、建物全体が使えなくなるレベルでは、意味がまったく違います。
「色が付いていない地域=安全」ではない
ハザードマップで色が付いていない場所=安全、とは言い切れません。
理由は大きく3つあります。
1. 想定を超える災害は起こりうる
2. すべてのリスクを網羅しているわけではない
3. 地形や周辺環境は時間とともに変わる
ハザードマップはあくまで「参考資料」であり、過信も、逆に怖がりすぎるのも、どちらもバランスを欠きます。
見落としがちだけど重要な「避難場所・避難経路」
そして災害時に最も大切なのが、避難場所・避難経路です。
●一番近い避難所は?
●そこまで徒歩で何分?
●川や踏切を渡る必要はある?
災害時は「想定どおりに動けない」ことも多く、だからこそ現実的に逃げられるかを確認することが重要です。
通信網に障害が起きた時のためにも、家族で避難場所を共有しておきましょう。
川が多い地域に住んだらダメ?
例えば、草加市や八潮市周辺は、荒川や中川などの大きな河川に囲まれています。
ハザードマップを見ると、「もしこれらの河川が氾濫したら、地域の大部分が浸水する」
という想定が示されており、不安に感じる方も多いでしょう。
では、この地域は“住んではいけない場所”なのでしょうか?
「大河川の氾濫」は、頻繁に起きる前提ではない
ハザードマップに描かれている「荒川や中川が氾濫するケース」というのは、数十年に一度、もしくはそれ以上にまれな規模の豪雨を想定しています。
日常的に起きるものではありませんし、「毎年どこかが水没する」という話でもありません。
むしろこのエリアは、首都圏でもトップクラスに治水対策が施されている地域です。
たとえば有名なのが、首都圏外郭放水路。場所は 春日部市にある、いわゆる「地下神殿」と呼ばれる巨大な施設で、
・河川の水位が上がる
・危険水域に近づく
・自動的に水を地下に逃がす
という仕組みが、人知れず24時間体制で機能しています。
私たちが普段の生活で「特に何も起きていない」と感じている裏側では、こうした設備が実際に働いているのです。
ハザードマップは「ここは住んではいけない」という地図ではありません。
●どういうリスクがあるのか
●それはどのくらいの頻度・規模なのか
●起きた場合、どう行動すべきか
を、事前に知るためのものです。
河川の氾濫よりも身近な「内水氾濫」
ハザードマップというと、大河川の氾濫や堤防決壊といった、規模の大きな災害に目が向きがちです。
しかし、実際の生活に影響を及ぼしやすいのは、内水氾濫です。
内水氾濫とは、大雨により下水道や排水路の処理能力を超え、雨水が地表にあふれ出す現象を指します。
河川が氾濫していなくても発生する点が、大きな特徴です。
内水氾濫は、次のような条件が重なった場合に発生します。
■短時間に非常に強い雨が降る
■下水道・側溝などの排水能力が不足する
■周囲より地盤が低い、または勾配が少ない
■排水先となる河川の水位が高く、流出できない
近年増えている集中豪雨やゲリラ豪雨は、内水氾濫を引き起こしやすい気象条件といえます。
大河川の氾濫のように「数十年に一度」という前提ではなく、比較的身近な頻度で起こりうる災害である点が重要です。
内水氾濫は発生する地域がある程度決まっている
内水氾濫は、偶発的にどこでも起こるわけではありません。以下のような場所では、発生しやすい傾向があります。
●昔から水がたまりやすい低地
●かつて水路や河川だった場所(暗渠)
●再開発等により地形や排水計画が変わったエリア
そのため、同じ地域・同じ場所で繰り返し発生しているケースも少なくありません。
多くの自治体では、公式ホームページ上で、
●過去の内水氾濫の発生履歴
●浸水実績図
●内水氾濫想定区域
などを公開しています。
ハザードマップが「想定」であるのに対し、これらは実際に起きた事実に基づく情報です。
物件選びの際には、併せて確認することが有効です。
内水氾濫については、次のような点も判断材料になります。
■敷地および前面道路の高低差
■周囲と比べて土地が低くなっていないか
■排水設備(側溝・雨水桝)の有無や状態
■大雨時の周辺道路の状況
現地確認の際には、天候の良い日だけで判断しないことも重要です。
まとめ
河川の氾濫は規模が大きい一方、発生頻度は低い傾向にあります。
一方で内水氾濫は、規模は比較的小さいものの、発生頻度が高く、日常生活への影響が出やすい災害です。
ハザードマップを確認する際には、大河川だけでなく、内水氾濫にも目を向けることで、より現実的な判断が可能になります。
住まい選びにおいて重要なのは、リスクを正しく理解し、納得したうえで選択することです。
日本で「ハザードゼロ」の場所を探すのは、正直かなり難しいです。
むしろ、利便性が高いエリアほど、何らかのリスクを抱えているケースも多く見られます。
大切なのは、どんなリスクがあるのかを知り、自分が許容できる範囲かを考え、建物や対策でカバーできるかを見る
ことです。
「万が一、起きたときにどう備えるか」まで考えておくことが重要です。
例えば、
■火災保険で水災補償を付けているか
■地下室や半地下構造の住戸を避ける、またはリスクを理解したうえで選んでいるか
■電気設備や給湯器などが低い位置に集中していないか
こうした点は、被害をゼロにすることはできなくても、被害を最小限に抑えるための現実的な対策になります。
「知らなかった」よりも、「知ったうえで選び、備えている」方が、住んでからの後悔は圧倒的に少なくなります。
正しく見て、冷静に選ぶ。それが、後悔しない住まい選びにつながります。