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【2025年4月から太陽光パネル設置義務化】東京都に注目する他府県の動向は?

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【2025年4月から太陽光パネル設置義務化】東京都に注目する他府県の動向は?

カテゴリ:その他

9月5日、東京都の小池百合子知事が記者会見で、来年2025年4月から実施する戸建住宅等の新築物件に太陽光パネル搭載を義務付ける制度についての方針を表明しました。

首都東京における制度ですから他府県からの注目度合いも高く無論、私達、不動産業者もその具体的な内容について関心があります。


小池氏は会見で「屋根が発電するのが当たり前という機運を醸成したい」と述べていましたが、これまで工場など一定規模以上の建物に義務付けした事例はありますが、新築一戸建ての義務化は全国初のことですから注目をあびるのも当然でしょう。

設置義務は東京都条例に改正案が提出され、可決後2年間の準備・周知期間を経て施工されるとのことで、改正される条例案としては現段階で「建築物環境報告書制度(仮称)」とされています。

今回は東京都が先導するこの制度が全国に波及する可能性を視野に入れ「本当にモトが取れるのか」など、海外の事例なども交えながら解説します。


設置費用が上がって損するのはユーザー?

東京都の考え方として設置義務は個人ではなく一定規模以上の住宅メーカーに課すとしていますが、ただで設備を付けられる訳もありませんから負担するのは結局のところ顧客です。

当たり前の話ですが小池氏も「事業者と都民双方の理解と協力が不可欠だ」との考えを明らかにし、住宅メーカーや購入者への補充内容を拡充するとしています。

私達不動産業者においても、今回の制度は意見の分かれるところですが当事者である東京都の住宅メーカーの反応は切実で反応が分かれています。

ZEHを全面に押し出し、すでに太陽光パネルの設置率が標準的になっているメーカーは「設置義務は容易にクリアすることができる」としていますし、そうではないメーカーはまだ具体的にされていない支援策の内容などを引き合いに、太陽光発電資材の安定的な調達や、それでなくても上昇している建築価格がさらに高騰することに懸念を示しています。

世界的な動向はどうなの?

地球温暖化の防止は世界規模で喫緊の課題とされており、東京都の取り組みは日本では過剰であると受け取られている傾向もありますが、世界的な動きから見ればそれほど珍しいものではありません。

先進国の多くが温室効果ガスの排出量と吸収量のバランスを取るカーボンニュートラル(炭素中立)を目指し、積極的な政策を展開しているからです。

トランプ政権時代の2019年11月4日にアメリカは、地球温暖化対策の国際的な取り組みである「パリ協定」から離脱しましたが、新たに誕生したバイデン政権では気候変動対策を看板製作に掲げ、就任初日の2021年1月20日にパリ協定への再参加を表明しました。

二酸化炭素排出国としては中国に次いで世界第2位のアメリカ(日本は第5位)ですから当然でしょう。

国の政策としては政権交代により180度変更された訳ですが、それからの加速度的な動きもアメリカならでは。

アメリカで地球温暖化対策について先行しているのはカリフォルニア州ですが、東京都もこの政策・制度の概要を参考にしていると思われます。

実際にカリフォルニア州の事例を引き合いにだしていますから間違いないでしょう。

具体的な対策の内容を知るには日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部のニューヨーク事務所が2021年4月にまとめた「米国・カリフォルニア州の気候変動対策と産業・企業の対応」というレポートを読めば理解が早いでしょう。

バイデン大統領は気候特命大使としてジョン・ケリー元国務長官を任命しましたが、パリ協定の目標達成に向け示した国内政策は連邦インフラ再構築・公有地保全・農業森林再生・化石燃料地域の復興支援などに分けられそれぞれのビジョンも明確にされていますが、中でも先行するカリフォルニア州においては「カリフォルニア地球温暖化対策法」という州法により2030年までに再生可能エネルギー50%にすると共に送電網の信頼性を確保しエネルギー効率2倍にするとしており、2050年には80%削減するという目標が定められています。

ちなみに日本は2050年までにカーボンニュートラル、つまりは排出を全体としてゼロにすることを目標としており、その前段として2030年度に2013年比46%削減を目標としています。

2050年の目標としてはカーボンニュートラルを目指す日本のほうが目標を高く設定し優れているような印象を受けますが、実現に向けての詳細な計画に目を通すと、計画の具体性で言えばアメリカに軍配が上がる印象を受けます。

例えばアメリカでは州単位、カナダ、ニュージーランド、韓国、中国では国を単位として導入されているキャップ・アンド・トレードです。

キャップ・アンド・トレードとは、「国内排出量取引制度」とも呼ばれる温室効果ガスの排出量取引制度の一つで、事業者に対し排出枠を設定し、過不足分の排出枠を取引することで規制を遵守する制度ですが日本においては東京都と埼玉県でしか導入されていません。

アメリカでも連邦レベルでは導入されていませんが、カリフォルニア州を含め11州が参加し、さらに広がりを見せています。

キャップ・アンド・トレードでは排出可能とされる二酸化炭素の量が国ごとに割当され、各国が割当分を上限として自国の企業に対し排出量を分配します。

企業は割当分を超えないよう排出量を抑える努力をし、排出量を超えた場合には排出量に余裕のある企業から比排出枠を購入し帳尻を合わせる必要があります。

結局のところ目標を強制され努力をするが、達成できなければ「お金を払って解決する」という理屈です。

何か釈然としない部分もありますが、総体的には削減目標が達成できるのですから効果は期待できます。

この制度は企業だけではなく国単位でもETSオークション市場で取引されており、スゥエーデンはCO2換算1トンあたり137ドル、スイスは46ドルなど国ごとに価格は相当なバラツキも見られますが、達成できなければ購入しなければならないのですから購入をせず自国で達成するため躍起になるのは当然でしょう。

東京都の基本計画

さて東京都が太陽光パネル搭載を義務付けする理由としては、前項のキャップ・アンド・トレードや地球温暖化防止という崇高な使命もあるのですが、一番の理由はエネルギーの安定供給を実現させるためです。

つまりは電力ひっ迫となるような状況を阻止したいということ。

2022年においても各都道府県で電力ひっ迫警報により節電協力要請が電力会社から出されました。

ひっ迫は地震等の影響により火力発電所が停止したなどが原因となった場合もありますが、都市生活において電力が供給されなければ仕事はおろか日常生活もままなりません。

夏場のエアコン停止や、厳冬地域においての暖房停止は生命にも関わる一大事です。

そのような事態に陥らせないためにはエネルギーの安定的確保が急務です。

ウクライナ・ロシア情勢により化石燃料への依存体質が顕在化しました。

ガソリン価格の値上がりは言うのに及ばず、各地域の電力会社は燃料価格変動を電気料金に反映させる「燃料費調整制度」の上限を撤廃されています。

これにより発電に必要な原材料費の値上げを消費者は際限なく負担することになります。

日本は天然ガス・石炭・石油で約70%の電源別発電を補っていますが、その原料はどれもが輸入に頼っています。

輸入が途絶えれば火力発電所は稼働できず電力供給できません。

そうならないよう各電力会社は割高であっても燃料を購入するしかないのですが、それによる金銭的な影響は電気料金を負担する企業や個人にのしかかります。

当たり前の話ですがそのような状態が長期化すれば経済に影響を与えるのは必至です。

綺麗事ではなくエネルギー受給率を高めなければなりません。

そのように理解すれば、脱炭素を全面に押し出しながら再生可能エネルギーシステム搭載を義務付けする方法は一挙両得です。

首都として経済の中心を担う東京都が全国に先駆け太陽光パネル搭載義務化を表明したのも頷ける話です。

もっともこのようなエネルギー問題は何も東京都に限らず全国における課題です。

東京都の進める施策を注視しながら、他府県も同様の施策を検討しているのが現実です。

各電力会社が、天候に左右される不安定な太陽光発電に対応するため、多額な予算を投じて急ピッチで送電網の整備を進めているのは外堀を埋め受け入れ体制を確保してから段階的に義務化を推し進める準備としか見られません。


結局のところモトはとれるの?

「太陽光発電でモトが取れるか?」という議論は、様々な場所で行われていますから皆さんも少なからず御存じでしょう。

電気買い取り価格は年を追うごとに下降していますが、最も買い取り価格の高かった2009年度の1kw48円(10kw未満の場合)においても、設置・メンテナンス・処分までの費用を含め試算すれば、ほぼ「モトは取れていません」

筆者は太陽光パネル全盛期の頃から携わり持ち、自身の担当顧客から発電効率などのデータを提供していただきシミュレーションしてきましたが、利益の出るような結果にはなっていません。

ですから、現在の買い取り価格ではモトを取るなどの発想自体、成り立ちません。

「電力がひっ迫しても我が家は自給自足で必要な電力を賄える」という発想を持ち、結果として温室効果ガスの抑制に貢献できると考えるしかないでしょう。

太陽光パネル搭載を勧める営業トークも、このような視点から組み立てる必要があるでしょう。

義務化されれば否応無しで搭載しなければなりませんが、他府県が東京都に追随しても一定規模のハウスメーカーに対して義務化するというスタンスは踏襲される可能性は高いでしょう。

ですが段階的にですが建築件数や会社規模によらず、全ての建築物に適用範囲を広げるべきだという議論も盛んに行われています。

私達はきたるべき時代に備え、いずれ全ての建物に太陽光パネル搭載が義務化されるとの認識で、再生可能エネルギーの基礎知識を学んでおく必要があるのではないでしょうか?

まとめ

今回は世界的な情勢も踏まえ、東京都が太陽光パネル搭載を義務化した背景について解説しました。

筆者の調査した範囲による私見ですが、現状の対策を行っているだけでは目標とする2050年度カーボンニュートラル実現は達成可能とは思えません。

国土交通省庁や経産省などから公開されているデータを見ても、かなりの部分で計画が遅れていることが確認できます。

とはいえ世界に向けて宣言していますから達成しなければならない目標です。

年を追うごとに温室効果ガス抑制に関する制度が見直され、義務化なども増加していくでしょう。

これからの不動産業者は、このようなエネルギー問題に関する知識も、相応に学び対応していく必要があると言えるでしょう。

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